talion gallery

大田黒衣美、COBRA、二艘木洋行
「オテル・アパラチアa」

2012.5.12 - 6.9
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Artists:
大田黒衣美
COBRA
二艘木洋行 >>
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Exhibition Statement
茶番をおわらせるために、また新たな茶番が必要とされる。
知っているはずのことを、知らないふりをしておどけてみせること。そうした振るまいをともにすること以外の共同性というものが、かつてこの地にあっただろうか。それを継体の本義と呼んだのは、誰だったか。
公然の秘密に蓋をして、落とし穴だらけの舞台の上で、各々に騒がしい一人芝居を演じてみせること。いずれ穴の存在さえ忘れ去られたころに、そこに足を滑らせるものが出はじめる。突発的に、かつ予期されたとおりに、災厄と惨事が招かれる。しかし、われわれはそうなることを知っていたのではなかったか。それは悲劇なのか、それとも喜劇なのか。
その穴がいくつの個人の生を奪おうと、いくつの故郷を呑み込もうと、なぜ哀れむ必要があるだろう。「こんなことは知らなかった、騙されていた」と憤激することもできる。「そうなることは分かっていた。しかし、おかげで十分儲かった、良かったじゃないか」とうそぶくことも。いずれにせよ、われわれはついにその穴の深淵を覗き込むことなく、その深い闇の底を知ることなく、いずれまた忘れ去る。
何にも増して重要なことは、すでに明らかとなった。しかし、われわれはそれを黙殺し、無かったことにして、元通りの日常を取り戻そうとする。もし、この地に権力と呼べるものがあるとすれば、知らないふりをすること、見えないふりをすることが、その起源に横たわる。肝心なことには口をつぐみ、忘却することによって、すべてのものが共犯者となり既得権者となる。
オテル・アパラチアは、当然のことながら現実にも虚構にも存在しない。虚構化された現実と、現実化された虚構しかないこの地においては、ふさわしい場所がないからだ。二艘木洋行、COBRA、大田黒衣美の三人の美術作家が、この仮宿をつくり、自らを迎え入れた。彼らは知っていることを知っていると言い、見えているものを見えていると言うだろう。その従順ならざる無邪気さによって、主流からの排除、敗北と遁走が宿命づけられている。オテル・アパラチアは、どこにでもあらわれ、全てのものを迎え入れる。しかし、出口はない。


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